何から始める?【衛生委員会スタートマニュアル】
こんにちは。メディカルコンチェルトです。
最近、「衛生委員会を立ち上げようと思うのですが、何から始めればよいですか?」というお問い合わせが増えています。
4月の年度初めに衛生委員会をスタートさせる企業様も多いと思いますが、どのように進めればよいか悩む担当者も多いようです。今回はそんな企業様向けにスタート時に必要なポイントをまとめてご説明していきたいと思います。
STEP1.「衛生委員会」「安全委員会」どちらの設置が必要か確認しよう
労働安全衛生法に基づき、50人以上の従業員がいるすべての事業場で設置が求められるのは「衛生委員会」です。労働者の健康障害を防止するためや、健康の保持増進を図るための基本となる対策について審議します。衛生委員会は業種に関わらず設置しなければなりませんが、特定の業種については、「安全委員会」を設置する必要があります。
下記の基準に照らし合わせて、ご自身の事業所がいずれに該当するか確認してみましょう。
それぞれの委員会の役割は異なる部分もありますが、いずれも労働安全に関連する役割を担っており、安全委員会と衛生委員会の両方を設置しなければならない場合、「安全衛生委員会」として両者をまとめたかたちで設置することが許可されています。
STEP2. 衛生管理者を選任する―衛生管理者になるためには?―
衛生委員会の設置にあたり、下記のメンバーを選任します。
- 総括安全衛生管理者またはそれ以外の者で、当該事業場において事業の実施を統括管理する者もしくはこれに準ずる者 1名(議長)
- 衛生管理者 1名以上
- 産業医 1名以上
- 当該事業場の労働者で衛生に関し経験を有する者 1名以上
この中で聞きなれない「衛生管理者」とはどのように選任するのでしょうか。
まず、衛生管理者になるには、資格を取得しなければなりません。受験資格は、次のうちいずれか一つに該当すれば、受験可能となっています。
- 大学または高等専門学校(短大を含む)を卒業し、労働衛生の実務経験が1年以上ある。
- 高等学校を卒業し、労働衛生の実務経験が3年以上ある。
- 労働衛生の実務経験が10年以上ある。
衛生管理者の資格は国家資格であり、試験に合格しなければなりません。試験は、全国7ブロックの安全衛生技術センターで、毎月1~3回程度行なわれています。詳しい試験日・受験場所については、公益財団法人安全衛生技術試験協会の試験情報ページをご覧ください。
また、衛生管理者には第一種・第二種があります。第一種免許は全業種で対応可能ですが、第二種免許では、以下の業種の場合は対応できないので取得の際にはご注意ください。
■第二種衛生管理者免許では対応できない業種
農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業
STEP3. 衛生管理者の規定の策定
衛生委員会を発足したら、次に行うのが委員会を運営していくための規定の作成です。
委員の構成、運営の仕方、調査・審議する事項について定めるもので、作成後は労働基準監督署に提出することが義務付けられています。東京労働局のホームページには「安全衛生委員会規定」作成例が掲載されています。記事の最後にリンクを貼っていますので参考にしてみてください。
STEP4. 年間スケジュールを決めましょう
毎月1回開催される衛生委員会。
ぜひ、年間スケジュールを立てて行いましょう。
また、毎回の委員会で確認すべき項目である、長時間労働者数、労災・通勤災害数などについては、確認漏れが無いよう、あらかじめ確認事項が記載された議事録をもとに進行することをお勧めします。
メディカルコンチェルトの書類テンプレート一覧に衛生委員会議事録テンプレートがありますので、それぞれの事業所に合うように編集してお使いください。作成した議事録は3年間保管する義務があります。
いかがでしたか?
衛生委員会を設置し、事業所の労働安全衛生についてみんなで意見を交わし、適切な労働環境管理に努めましょう。
◆サンプル
安全衛生委員会規定 策定例はこちら
議事録テンプレート無料ダウンロードはこちら
(執筆者:メディカルコンチェルト産業医 宍戸菜穂美)