【チェックリスト付き】産休・育休の対応事務の手引き完全版②

【チェックリスト付き】産休・育休の対応事務の手引き完全版②

こちらの産前産後休業の記事に続き、今回は育児休業に関する手引きです。

最近は、産後休業が終わった翌日からそのまま育児休業に入り、1歳前後までは育児を堪能する人が大多数ではないでしょうか。そんな育児休業の権利と保険関係手続きについて解説します。なお、育休を取らずに職場復帰するパターンについては、「職場復帰・その他編」の別記事にて紹介予定です。

今回もチェックリストを用意したのでこちらを参考に、時系列で育児休業に関係する手続きを見ていきましょう。

目次
  1. 育児休業申出書・休業取扱通知書
    1. コラム 「育児・介護休業法」における育児休業とは?
  2. 育児休業取得者申出書
  3. 年末調整、還付金振込
  4. 休業開始時賃金月額証明書、育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
  5. 育児休業給付金支給申請書(2~5回目)
  6. 1歳に達した日から、1歳6か月までの育児休業の延長
    1. 育児休業給付金の延長申請(育児休業給付金支給申請書5回目又は6回目と同時に行います)
    2. 育児休業給付金支給申請書(6回目~8回目)
    3. 育児休業取得者申出書2回目
  7. 1歳6か月に達した日から、2歳までの育児休業の延長
    1. 育児休業給付金の延長申請(育児休業給付金支給申請書8回目又は9回目と同時に行います)
    2. 育児休業給付金支給申請書(9~11回目)
    3. 育児休業取得者申出書3回目

育児休業申出書・休業取扱通知書

まず育児休業を取得する労働者は、育児休業開始の1か月前までに会社宛に育児休業申出書を提出します。会社はそれを受けて速やかに「育児休業取扱通知書」を交付します。これらは社内書式です。

ずいぶん大げさな書式ですが、厚生労働省で出している育児・介護休業等に関する規則の規定例-[詳細版]に含まれているものです。社内用の書式なので、本人・会社ともに提出がない場合でもペナルティはありませんが、正しくルールに沿った対応をすることで、トラブルを避け、会社を守ることにつながります。この機会に自社で使いやすい書式を作成してみても良いでしょう。

コラム 「育児・介護休業法」における育児休業とは?

「育児・介護休業法」における育児休業とは、労働者が、原則としてその1歳に満たない子を養育するためにする休業のことです。「原則」とつけている理由は、以下に達するまでの期間も含んでいるからです。

  • 一定の場合は1歳2か月
  • 保育所等に入所できない等の理由がある場合1歳6か月
  • それでも入所できない等の理由がある場合2歳 

産休と同様に、育児休業も会社の義務のため、休業させなければなりません。
ただし、産休が誰でも取得できるのに対し、育休は対象となる労働者の範囲が定められています。

当然に対象外となる労働者

  1. 日雇労働者
  2. 有期契約労働者で、入社1年未満の者
  3. 有期契約労働者で、子が1歳6か月を経過するまで(※)に労働契約期間が終了し、更新されないことが明らか
    (↑要は、育休の最中に雇用関係が終了する人は、休業させる意味がない)
    (※)2歳までの育児休業申出の場合は2歳

労働者の過半数代表と協定を結んでおくことにより対象外(拒否可能)となる労働者

  1. 入社1年未満
  2. 育児休業申出の日から1年(※2)以内に雇用関係が終了することが明らか
    (↑当然に対象外となる労働者と似ているが、有期契約労働者以外では協定が必要となる)
  3. 週の所定労働日数が2日以下
    (※2)1歳超える休業申出の場合は6か月

≪注意≫
労働者の過半数代表者との労使協定を結んでいない限り、「入社してすぐ(既に対象の赤ちゃんいるなど)」「週1日勤務のアルバイト」であっても、育児休業の申し出を拒むことはできません。

育児休業取得者申出書

産休時に提出する産前産後休業取得者申出書と書式がよく似ています。
意味するところは同じで休業中の社会保険料免除です。
育児休業の開始日、終了予定日を記入して年金事務所へ届出ます。(健康保険組合加入の場合は、組合にも届出)
産後休業終了日翌日が育児休業開始日ですので、その日以降提出可能です。

この育児休業取得者申出書の下の方に記載があるように、育児休業は4つの期間に区分されています。
それぞれの期間は、基本的には重なったり、他の期間に割り込まないものと思ってください。

  1. ~1歳誕生日前日まで…1歳未満の子を養育するための育児休業
  2. 1歳誕生日~1歳6か月目前日まで(保育園に入れない等の特別な事情ある場合)
  3. 1歳6か月目~2歳誕生日前日まで(保育園に入れない等の特別な事情ある場合)
  4. 1歳誕生日~3歳誕生日前日まで 育児休業に準ずる期間

育児休業取得者申出書は①の期間に提出します。
もし1歳以降も育児休業する場合は、①の書類の延長申請ではなく、②の期間について新規で申請書を提出します。A[延長]というのは、あくまで1つ1つの枠内だけの話です。

年末調整、還付金振込

年末調整が、産休・育児休業取得のどこに重なるか否かは出産日によります。

年末調整の時期になった場合は、育休中の方も忘れないように、扶養控除等申告書を提出いただき、年末調整を行ってください。1年間仕事する前提で所得税を計算しているので、年末調整を行うことにより還付になる可能性が高いです。
ただし、1月~12月の1年間に給与・賞与の支払いが全くない場合は、年末調整は行いません。源泉徴収票の発行、市区町村へ給与支払い報告書の提出も必要ありません。
新年度分の扶養控除申告書だけは、本人に記入・提出してもらい、会社保管します。

休業開始時賃金月額証明書、育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書

ここから、ハローワークでの手続きが登場します。


育児休業給付金とは、育児休業中の賃金補償役割で、いわゆる「育休手当」です。
金額は、育休開始から180日までは給与の約67%、それ以降は給与の約50%です。申請できるのは、育児休業開始から2か月経過後です(出産日からカウントすると約4か月後)。育休開始日から2か月毎に期間を区切り、経過した2か月の期間について、「休業」+「賃金の支払いなし」を条件に支給されます。

休業開始時賃金月額証明書」は、給付金の元になる金額を計算するために出す書類です。休業開始からさかのぼって、給与の支払われた月の原則6か月間の平均を基準に計算し、離職票に似た書類を作成します。

育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」は、前半は育児休業給付の受給資格があるかの確認、後半は前2か月の期間についての「休業」+「賃金支払いなし」を証明し、実際に支給申請を行う書類です。ちなみに受給資格確認を行うだけならば育休開始後すぐに手続き可能ですが、二度手間なので一般的には初回の支給申請と同時に手続きすることが多いです。

下記添付書類が必要です。

  • 振込先口座の通帳コピー
  • 母子手帳コピー
  • 賃金台帳・出勤簿

育児休業給付金支給申請書(2~5回目)

「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」で初回の給付申請をしましたが、2回目以降は、この後半部分である給付申請のみを行っていきます。2か月ごとに申請しますので、1歳まで休業する場合、計4回の申請が必要です。添付書類として賃金台帳、出勤簿が必要です。

1歳に達した日から、1歳6か月までの育児休業の延長

ここからは、1歳(パパママ育休プラスを利用の場合は1歳2か月)に達した日以降の休業についての解説です。育児休業は、1歳誕生日までの職場復帰を前提として行いますが、昨今の保育園事情では待機児童となり復帰が叶わない事もかなりの確率で発生します。その場合、育児休業の延長が可能です。

育児休業の開始時と同じように、社内で「1歳~1歳6か月の休業についての申請」「1歳6か月~2歳までの休業についての申請」を、それぞれ休業開始日の2週間前までに行う必要がありますが、ここでは省略いたします。社内ルールに則ってご対応ください。

育児休業給付金の延長申請(育児休業給付金支給申請書5回目又は6回目と同時に行います)

1歳到達した時点での、保育園に入園不可であった証明書が必要になります。(保育不承諾通知、保育保留通知など)
保育園の申し込みをしているのかなど早めに確認しておきましょう。まれにですが、保育申込の意思が全くない社員も存在します。

4月入園は申し込み時期が早まっている傾向があり、また2、3月入園の申し込みは受付しない事も多いです。その場合どうしたら良いかについて確認しておくことをお勧めします。

育児休業給付金支給申請書(6回目~8回目)

2カ月ごとに申請しますので、1歳6か月に達するまでの間に3回申請を行います。賃金台帳、出勤簿が必要です。

育児休業取得者申出書2回目

健康保険・厚生年金保険の保険料免除期間の申請も、1歳以後の期間について再び提出が必要です。
育児休業取得者申出書の図②の期間について、申出を新規で提出します。特に難しい事はありませんが、期間の「延長」ではない事だけご注意ください。

1歳6か月に達した日から、2歳までの育児休業の延長

1歳6か月に達した日以降の休業についての解説です。

育児休業給付金の延長申請(育児休業給付金支給申請書8回目又は9回目と同時に行います)

1歳の時と同じように、1歳6か月(誕生日に応答する日)時点で保育園の申し込みをしていて、入園不可であった証明が必要です。

育児休業給付金支給申請書(9~11回目)

2カ月ごとに申請しますので、2歳に達するまでの間に3回申請を行います。賃金台帳、出勤簿が必要です。

育児休業取得者申出書3回目

健康保険・厚生年金保険の保険料免除期間の申請も、1歳6か月以降の期間について申出が必要です。育児休業取得者申出書の図③の期間について、申出を新規で提出します。



育児休業の手続きは同じことの繰り返しが特徴です。単独ではさほど難しくないことが、休業対象者が2人3人と重なってくると、今一体どの時点にいるのか混乱し、その結果必要な申請を忘れがちなところに注意が必要となります。
このように、長い育児休業が終了し、ついに職場復帰編となります。
次回は今回お伝えできなかった「パパママ育児休業プラス」の制度や、来年から施行されるいわゆる男性の産休(育児休業改正)も交えてお伝えできればと思います。

社会保険労務士法人レガリア