産業医の選び方~保持資格で選ぶ~

産業医の選び方~保持資格で選ぶ~

こんにちは。メディカルコンチェルトです。

産業医を選ぶとき、何を基準にしていますか?

精神科医であること、健診医であること、など、専門科目で指定する企業も多いようです。しかし、「産業医」という資格自体が一つの専門科目であり、ほかの科目と兼任していることが必ずしもスペシャリスト、というわけではありません。

では産業医自身がもつ資格にはどういったものがあるのかご紹介したいと思います。

【産業医がもつ資格】
①産業衛生専門医
②労働衛生コンサルタント
③メンタルヘルス法務主任者
④社会医学系専門医
⑤その他臨床分野の専門医

①産業衛生専門医

産業衛生専門医は内科専門医など臨床分野で専門医があるのと同様、産業医分野における専門医資格です。

受験資格として、下記のような条件があります。
・医師免許証を取得後、5年以上を経過していること、
・専攻医名簿に登録されていること
・指導医の所属する研修施設等において、指導医の指導の下で研修施設における9単位以上の産業医研修を修了していること
・指導医が専門医資格認定試験を受けるにふさわしい能力があることを確認していること
・産業保健に関する研究の実績があること
・社会医学系専門医を取得していること、あるいは社会医学系基本プログラムを修了し基本領域専門医を取得していること

このようにかなり厳しい受験資格規定があります。
これらの規定をクリアし、筆記試験に合格している産業衛生専門医は、「産業医学を専門に学び、産業医界の第一線で活躍されいる産業医」といえるでしょう。

②労働衛生コンサルタント

労働衛生コンサルタントは国家資格の一つです。

その役割は、事業所の労働衛生面の評価や指導で、具体的には、労働災害・職業性疾病の未然防止や再発防止対策の方法や考え方を事業者に助言することになります。社内では気づきにくい、安全衛生上の問題点を明かにし、有効かつ効果的な方法を事業者、管理監督者、作業者に指導する、それが「労働衛生コンサルタント」です。

具体的な事例は日本労働安全衛生コンサルタント会のHP(https://www.jashcon.or.jp/contents/)でわかりやすく例示されていますので、ご参考ください。

この資格を持っている産業医の先生は、会社や経営者の求めに応じて、労働安全衛生施策に関する相談のほか、安全衛生に関する教育、講演、資料の提供等が行えることになります。

③メンタルヘルス法務主任者

メンタルヘルス法務主任者資格は、メンタルヘルスに関する法務的な知識を習得した者に与えられる民間資格です。2018年度より「メンタルヘルス法務主任者」から「メンタルヘルス・産業保健法務主任者」に資格名称が変更されました。

職場におけるメンタルヘルス不調者や難治性身体疾患の罹患者への適正な対応法、不調者発生の防止に役立つ法務やその他分野の知識を習得しており、職場でメンタルヘルス問題に対し、より具体的な解決できるスキルを有しています。

実際、メンタルヘルス問題は組織にとっては医療的側面のみならず、法務的な観点も必要となる、非常に難しい問題です。会社組織であれば企業経営に関する知識も必要でしょう。

これまでにメンタルヘルスに関しては、産業カウンセラーや臨床心理士など医学的な側面を重視した資格は様々ありますが、法務的知識を養うものはありませんでした。メンタルヘルス問題に対し、法務的な知識を学び、企業の組織運営や人事労務管理を知り、福祉や産業保健を総合的にカバーすることを目的に、この資格が作られました。

メンタルヘルス法務主任者資格制度は民間資格ですが、労働関連法規と医学的知識を兼ね備えた資格であり、この資格をもつ産業医の先生がいることは、企業にとって心強いサポートになることでしょう。

④社会医学系専門医

社会医学系専門医は2017年より制度が開始され、2019年にその第一回専門医試験が実施された新しい専門医資格です。その目的は、「個人へのアプローチにとどまらず、多様な集団、環境、社会システムにアプローチし、人々の健康の保持・増進、傷病の予防、リスク管理や社会制度運用に関してリーダーシップを発揮することにより社会に貢献する専門医であり、多世代・生涯にわたる健康面での安全、安心の確保と向上に寄与すること」としています(社会医学系専門医協会HPより)。産業衛生専門医と同様、受験資格が厳しく、受験するには専攻医として専門研修プログラムを修了しなければなりません。

産業医のほか、都道府県や政令市・中核市や保健所、厚生労働省などの保健医療行政分野で働く医師、医療機関において医療情報管理などの分野で働く医師、大学や研究機関において衛生学、公衆衛生学などの分野で働く医師など、社会医学系の分野で働く医師などが対象となる資格です。近年問題となっている就労年齢の拡大、持病を持ちながらの就労、育児をしながらの就労、介護をしながらの就労など産業保健領域だけでは対処が難しい課題に対し、産業医が社会医学領域全般の専門性を修得し、これらの解決につながることが期待されています。

まだ新しい専門医資格ですが、今後、産業衛生専門医と同様、産業医の専門医資格として重要視される資格の一つです。

⑤その他臨床分野の専門医

産業医の中には、内科、外科、精神科などの臨床分野で働く先生も多くいます。それらの先生は、臨床分野に自分の専門分野があり、産業医資格も有している先生です。例えば、精神科を専門とする先生が産業医として働くケース、開業医の先生が産業医として働くケースなどがそれにあたります。職場にメンタル不調者がいる、高ストレス面談が多い事業所などは、精神科を専門とする産業医の先生に面談をお願いできるのはとても心強いのではないでしょうか。

以上、産業医の資格についてお話しました。産業医選任の際の参考になりましたら幸いです。

(執筆者:メディカルコンチェルト産業医 宍戸菜穂美)

ジョブカン通信 編集部

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