わかりやすく社労士が解説!人事労務Q&A【社会保険編②】

わかりやすく社労士が解説!人事労務Q&A【社会保険編②】

人事労務担当者であれば、正確に把握しておく必要のある社会保険。副業している場合や、出向者の場合など、本記事では、人事労務担当者が「これでいいの?」「詳しく知りたい!」と感じる社会保険に関する疑問をQ&A形式で社労士が分かりやすく解説します!

目次
  1. Q. 外国人を雇用した場合の手続きは?
  2. Q.社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入条件は?
  3. Q. 雇用保険の加入条件は?
  4. Q. 健康保険組合とは?
  5. Q. 産前産後休業・育児休業時にどういった手続きがある?
  6. Q. 介護休業時にどういった手続きがある?
  7. Q.同日得喪とは?
  8. Q.同月得喪とは?
  9. Q. ダブルワークにおける社会保険はどう取り扱う?
  10. Q. 出向者の社会保険・雇用保険・労災保険の取り扱いは?
    1. ①社会保険
    2. ②雇用保険
    3. ③労災保険
  11. Q.60歳以上の方を採用する場合の社会保険手続きは?

Q. 外国人を雇用した場合の手続きは?

A. 社会保険の手続きにおいては、個人番号(マイナンバー)があれば、資格取得届に記載して提出することにより、特別な対応は不要となります。

入国間もないため、個人番号(マイナンバー)の発行が間に合っていない等の理由において、資格取得届に記載ができない場合には、「ローマ字氏名届」の添付が必要です。第3号被保険者となる配偶者がいれば、同様に「国民年金第3号被保険者 ローマ字氏名届」を提出します。

また、外国人の雇用(離職)に関しては、ハローワークへの届出が義務付けられています。雇用保険の対象者であれば、資格取得届(資格喪失届)に在留資格、期間等を記載し、「在留カード番号記載様式」に在留カード番号を記載して提出します。雇用保険の対象外であれば、「雇入れ(離職)に係る外国人雇用状況届出書」に氏名、在留資格、期間、在留カード番号等を記載して提出します。

(回答:吉田 爵宏・今井 礼子)

Q.社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入条件は?

A.社会保険の適用事業所で常時使用される70歳未満の方は、国籍や性別を問わず、社会保険の被保険者となります。

パートタイマーやアルバイト等、有期雇用契約の方や労働時間が短い方も、以下1・2の両方に該当する場合は被保険者となります。

1.1週間の所定労働時間が、その事業所の通常の労働者の4分の3以上
2.1ヶ月の所定労働日数が、その事業所の通常の労働者の4分の3以上

ただし、日々雇い入れられる方や2ヶ月以内の期間を定めて使用される方等は、一定の期間を超えて使用されるようになった場合に被保険者となります。

また、上記の時間・日数に満たない方であっても、以下1~5のすべてに該当する場合は被保険者となります。

1.1週間の所定労働時間が20時間以上
2.雇用期間が1年以上見込まれること
3.賃金が月額8.8万円以上
4.学生でないこと
5.501人以上の被保険者がいる事業所で使用されていること

(回答:吉田 爵宏・今井 礼子)

Q. 雇用保険の加入条件は?

A. 雇用保険に加入する条件は、大きく分けて2つあり、両方の条件を満たす場合にのみ加入が必要です。

①31日以上引き続き雇用されることが見込まれること
②1週間の所定労働時間が20時間以上であること

上記①は「期間の定めがなく雇用される人」や「雇用期間が31日以上の人」は当然ですが、「雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合」や「雇用契約に更新規定はないが、同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合」なども幅広く対象とされます。

なお、雇用保険の被保険者とは「雇用関係によって得られる収入によって生活する者」をいいます。したがって、昼間は学校に通っている学生であれば、上記の条件を満たしても対象外となります。ただし、卒業後の内定先で働いている場合や学校を休学している場合には、やはり雇用保険の対象となり得ますので、学生の方を雇用する際には、都度状況を確認しながら雇用保険の加入を判断しましょう。 

(回答:吉田 爵宏・今井 礼子)

Q. 健康保険組合とは?

A. 政府が行う健康保険事業を代わりに行う公法人です。企業が単独、あるいは共同して設立して保険者となります。病気やケガに対する治療費や生活費の補填を目的として、収入に応じた保険料を徴収し、医療費の補助や手当金の支給を行います。

政府管掌の「協会けんぽ」と比べ、健康保険組合の独自の給付を支給するケースがあり、また、健康保険料・介護保険料の本人負担額が低いケースも多く、福利厚生の面で編入を検討する会社が多くあります。

健康保険組合によって編入条件がそれぞれ異なり、業種や年齢、報酬額、地域など様々あるので、編入を検討する際にはまずは条件面の確認から進めることとなります。なお、編入後は、厚生年金保険の手続きは年金機構へ、健康保険(介護保険)の手続きは健康保険組合へと届出しますのでご注意ください。

(回答:吉田 爵宏・今井 礼子)

Q. 産前産後休業・育児休業時にどういった手続きがある?

A. 産前産後休業・育児休業中の主な手続きは以下のとおりです。それぞれ手続きのタイミングが異なるためご注意ください。

(回答:吉田 爵宏・今井 礼子)

Q. 介護休業時にどういった手続きがある?

A. 産前産後休業や育児休業と異なり、介護休業時には社会保険料免除の仕組みがありません。ただし、介護休業中の生活補填を目的として、雇用保険法から給付金を受給することが可能です。

「介護休業給付金支給申請書」ならびに「被保険者休業開始時賃金証明書(介護)」に添付書類として、①会社宛に提出した「介護休業申出書」、②介護対象家族との続柄等の確認書類として「住民票記載事項証明書など」、③介護休業の実情確認として「出勤簿など」、④賃金支給の実情確認として「賃金台帳など」を提出します。

給付額は賃金日額のおおよそ67%程度となりますが、介護対象となる同一家族につき93日分を限度とし、3回まで支給されます。

(回答:吉田 爵宏・今井 礼子)

Q.同日得喪とは?

A.60歳以上の社会保険の被保険者が退職後、1日も間を空けずに同じ事業所で再雇用される場合、再雇用された月から再雇用後の給与に応じた標準報酬月額に改定することができます。これを同日得喪といいます。

再雇用前の被保険者資格の資格喪失届ならびに再雇用後の被保険者資格の資格取得届を同時に管轄の年金事務所(事務センター)へ提出して届出を行います。資格取得届には、退職・再雇用に関する証明書類を添付します。健康保険組合に加入する事業所の場合は、健康保険組合にも同様の書類を提出します。

この手続きでは、再雇用前の被保険者資格を喪失するため、健康保険証は被扶養者分も含めて資格喪失届に添付して返却します。新たな被保険者資格取得に伴い、健康保険証も新たに交付されます。被扶養者がいる場合は手続き時に扶養異動届も提出し、再度扶養認定を受ける必要があります。

なお、この届出は任意であり、必ず提出しなければいけないものではありません。同日得喪を行わない場合は、再雇用後の給与が最初に支払われた月を変動月とした随時改定で標準報酬月額を改定することとなります。

(回答:吉田 爵宏・今井 礼子)

Q.同月得喪とは?

A.「同日得喪」とよく似た言葉に、「同月得喪」があります。同月得喪とは、社会保険の資格を取得した月に、その資格を喪失することを言います。

通常、月の途中で被保険者資格を喪失した場合は喪失月の社会保険料はかかりませんが、資格取得月に資格喪失する場合は、1ヶ月分の社会保険料を納付する必要があります。

ただし、資格取得月にその資格を喪失した後、同月内に新たに厚生年金保険や国民年金(第2号被保険者を除く)の被保険者資格を取得したことを年金事務所で確認した場合は、喪失した被保険者資格について厚生年金保険料の納付が不要となり、納付済みの保険料が返金されます。この返金は資格取得・喪失手続きを行った事業所宛に行われるため、返金額のうち本人負担分は事業所から本人へ返金を行う必要があります。

なお、この措置は厚生年金保険のみが対象であり、健康保険料は同月喪失後の資格取得の有無にかかわらず返金されません。

(回答:吉田 爵宏・今井 礼子)

Q. ダブルワークにおける社会保険はどう取り扱う?

A. 社会保険(厚生年金・健康保険)は、複数事業所での資格取得が可能です。それぞれの勤務先ごとに社会保険の加入要件を満たしていれば、それぞれで資格取得を行うこととなります。加入要件はQ8のとおりですが、一般社員が複数事業所で取得要件を満たすことは少なく、役員が該当するケースがほとんどです。

複数事業所で資格取得された従業員は、主たる事業所を選択して、「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。社会保険料については、それぞれの事業所の報酬月額に応じて、按分したものを負担します。

次に雇用保険ですが、こちらは主たる賃金の支給を受ける事業所のみで加入します。主たる賃金の明確な定義はありませんが、一般的には賃金額の一番多い事業所で加入することとなります。

(回答:吉田 爵宏・今井 礼子)

Q. 出向者の社会保険・雇用保険・労災保険の取り扱いは?

A. 出向者の社会保険・雇用保険は、給与の支払い方法によって運用が異なります。また、労災保険は出向先での適用が原則です。

①社会保険

直接給与を支払う会社で加入するのが原則です。出向元から給与を支払い続けるのであれば、そのまま社会保険に加入し続けます。仮に出向先から給与を支払うのであれば、出向元での被保険者資格を喪失し、新たに出向先で資格取得の手続きを行うこととなります。なお、出向元・出向先の両方から給与を支給する場合は、それぞれの金額等でケースバイケースとなりますので、管轄の年金事務所や健康保険組合に確認しながら進めます。

②雇用保険

社会保険と同様に直接給与を支払う会社で加入します。「主たる賃金を支給する」方でしか加入できないため「出向先での給与額が多い」あるいは「出向先から給与を全額支払う」場合には、出向元での被保険者資格を喪失し、新たに出向先で資格取得の手続きを行うこととなります。

③労災保険

実際に業務を行う出向先で適用させます。給与の支払い元がどちらであるかは関係ありません。

(回答:吉田 爵宏・今井 礼子)

Q.60歳以上の方を採用する場合の社会保険手続きは?

A.健康保険は75歳未満の方、厚生年金保険は70歳未満の方が被保険者となります。

70歳以上の方は厚生年金保険の被保険者とはなりませんが、在職老齢年金制度の適用のため、「70歳以上被用者該当届」を提出します。この届出は資格取得届の様式で行います。

また、65歳未満の方に被扶養配偶者がいる場合、60歳未満の配偶者は国民年金第3号被保険者となります。

雇用保険では、被保険者となる年齢に上限はありません。60歳以上の方でも資格取得届の提出が必要です。

60歳から65歳までの方の場合は、高年齢雇用継続基本給付金、または高年齢再就職給付金を受給できる場合があります。60歳時点での雇用保険加入の有無や失業等給付の受給の有無等により支給要件や手続きが異なるため、本人へ聞き取りを行い、管轄のハローワークへ相談するのがよいでしょう。

(回答:吉田 爵宏・今井 礼子)

社会保険労務士法人みらいコンサルティング