間接部門のシステム化に向けた取り組みポイント!

間接部門のシステム化に向けた取り組みポイント!

目次
  1. はじめに
  2. システム活用がうまくいかない原因
  3. システム導入時のポイント
  4. まとめ

はじめに

中小企業における間接部門のシステム化は、「効率化」「働き方改革」「コロナ禍の働き方」等への対応として重要性が増しています。今後も変化が続き、中小企業でも、益々、システム活用の推進が求められることになるかと思います。
一方、システム化により社内の課題解決を図ろうとしたところ、次のような結果になってしまう事例も見受けられます。

☑ システムを導入したが上手く活用できない、効率化が進まない。
☑ システムを導入したらかえって業務が煩雑になった。

なぜこのようなことが起きるのか? どうすればシステム化の効果を享受できるようになるのか?
次項以降で、その原因と実務目線でポイントとなる取り組みを紹介させていただきます。

システム活用がうまくいかない原因

中小企業で行われているシステム化の事例についてお受けした相談を見る限り、社内の課題を解決するために行ったシステム導入の効果が得られない背景には、次のような原因が見受けられます。

☑ 事前の準備が出来ていない
課題分析(現状分析)、システム導入の目的を明確に出来ていない。

・自社の(間接部門)業務運用の課題は何なのか?
・自社の(間接部門)業務運用の課題はそのような方法で解決できるのか?

これらの事前検討が十分になされておらず、導入後のシステムと業務運用がフィットしていない。
結果、課題の解決が図られず、逆に業務運用をシステム導入前より複雑にしてしまい不効率や運用精度を落とすことにつながります。


☑システム選定に誤りがある
導入したシステムが間接業務全体と適合していない。

人事、労務、総務、経理といった間接部門は、相互に関連して業務運用がなされている一方、システムはそれぞれの領域で切り分けられているケースがあります(*)。
この点を加味したシステム選定、社内の間接業務全体の中での連動が確保されていない場合、システム導入後の効率化が進まず不効率を内包してしまいます。
(*)最近は間接部門を横断的に捉えたクラウドシステムが登場しており、このようなシステムを選定した場合、システム導入後の業務運用を構築しやすくなります。


☑担当者の確保
社内にシステム活用を進められる担当者がいない。

会社の経営環境は刻一刻と変化していくため、システムを活用する側(間接部門担当者)には、変化に対応するため法律、社内制度、システム活用方法の理解が求められます。さらには必要に応じて社内の運用を変えていく事も求められます。一方、中小企業では担当者の育成が進まないケースが見受けられます。これは、担当者の能力の問題や、育成方法の問題以前に、担当者が実務対応に追われているという切実な事情があります。
結果、変化への対応としてシステム導入を行う際もシステム会社任せになってしまいます。しかし、システム会社は導入先会社の業務運用等に精通しているわけではなく(実務運用の相談にのってくれるシステム会社が少ない)、結果、システム導入をしただけになり、導入の効果を享受できずに終わってしまうことが起こりがちです。
システム導入は、システム導入後の業務運用も加味した視点(効果を意識した視点)での検討が必要となり、社外の専門家を活用しない場合、これは社内の担当者に求められる役割になります。

システム導入時のポイント

➀クラウドシステムの活用
現在、中小企業が導入を検討できるシステム(コスト面、汎用性、拡張性)として、クラウドシステムが普及しています。
※クラウドシステム機能例
 ・・・勤怠管理、給与計算、社内申請、人事情報管理、採用、経費精算、会計管理 等

クラウドシステムも多様となり、間接部門で有効な機能のリリースも進んでいます。システム導入・更新時の負担(費用、システム対応)も比較的少なく、会社内のシステム化、効率化を継続的に行う、利用する機能を拡張させていくうえで、クラウドシステムは中小企業にとっては大きな武器となります。
(非クラウドシステムでは実現出来ない効率化が図れます。)

会社内の効率化は、単発的な取り組みではなく広がりを見せていくものです。クラウドシステムを上手に活用することは(注:全ての社内システムがクラウドシステムである必要はない場合もある)、中小企業がシステム化を進め社内の課題を解決するうえで重要なポイントになります。

➁業務運用の視点からの検討
システム化を検討する場合、システム会社に相談するところから始まるケースをよく見かけますが,中小企業では大企業と異なり、システムの自社開発(それに近い要件定義が必要なシステムの活用)に進むことは少なく、パラメーター設定でシステム設定が出来るシステムを活用するのが主流です。
このため、システム会社に相談する前に、社内の業務運用をどのようにするかという業務運用の視点での検討が優先となります。

業務運用の視点からの検討は、社内担当者を中心に進めていく事になりますが、これがうまく進まないケースをよく見かけます。この背景には、現状の業務運用が最善と考えて日々業務に従事する社内担当者独自の目線があります。また、仮に現状の業務運用の課題に気付いていても、検討には業務運用とは異なるアプローチが必要となりスキル面、心理的な負担は大きく、検討の時間確保も出来ないことも相まって取り組みが進まないことが考えられます。

このような場合、システム活用に詳しい社会保険労務士、税理士等を活用することをお勧めします。社会保険労務士、税理士等は法令、業務運用について十分な理解が期待できます。最近ではシステム活用に精通した社会保険労務士、税理士等が増えています。
課題の見極め、業務運用の見直し、システム活用、システム導入後の運用について「社内担当者と共にシステム化を検討する役割」を担っていただければ、システム導入が進みその効果を享受しやすくなる でしょう。

③業務フローを使った課題抽出と共有
システム導入前に、社内間接部門の業務運用がどのような繋がりを持っているのかを可視化することは非常に有効です。例えば、勤怠システムを導入するにしても、実際には社内規定、給与計算、社内申請、等の運用とつながりがあり、この点を理解したうえで勤怠システムを導入できれば、導入時、導入後の運用は円滑に進むでしょう。
現状の業務フローを作成(簡易版でも良いので作る)、現状を可視化することで課題抽出、課題共有が図 れれば、システム化の取り組みは大きく前進します。

④業務運用の検討
会社が業務運用を行う体制としては、大きく「自社運用」と「アウトソーシング活用」に大別して考えられます。
中小企業では直接部門に人員を配置する必要に迫られるケースがあります。そのような会社では、人事、労務、総務、経理といった間接部門は、少ない人数で多様な(ボリュームも多い)業務に対応しており、結果、システム導入の効果が得られない事となりがちです。
そこで、社内担当者の有無、経験、能力等を踏まえ、会社として次を決めることで、システム導入後の業務運用が明確になり、期待すべき効果も明確になります。

□自社の現状を踏まえて「社内担当者」と「社外専門家」の役割分担を決める。
□「自社運用」とするか「アウトソーシング活用」とするかを決める。

特にアウトソーシングの活用の有無は、システム化の検討と密接に係りがあります。アウトソーシング会社が使用するシステムは多機能・高機能で変化にも対応しやすい場合があります(アウトソーシング会社に確認が必要)。
自社で購入ではなくアウトソーシング会社が持つシステムを上手に活用できるかは、システムの導入費用、保守費用の検討(費用削減の検討)につながります。

(A)自社運用
システムを自社購入のうえ社内の業務運用に組み込み、課題解決を図ります。

◎自社運用のメリット
社内担当者にシステム活用のノウハウが蓄積されます。言い換えれば社内の人材育成が進みます。

(B)アウトソーシング活用
社内業務のうち、一定領域(又は全て)を社外に委託することで課題解決を図ります。

◎アウトソーシングのメリット
費用面では、アウトソーシング会社が持つシステムを活用することで、システム導入費用、ランニングコストの削減につながることが期待できます。また、社外の人材、専門性を活用でき、採用コストの削減、経営環境の変化に対応しやすくなります。人員を社内の直接部門に配置しやすくなる効果を期待できます。

※アウトソーシング活用の留意点として、変化が激しい現状ではアウトソーシング受託者が法令、実務、システム運用に精通していることは重要になります。専門家の選定には留意が必要となります。

まとめ

中小企業でもシステムを活用し、「働き方改革」「効率化」「DX推進」等への対応が求められています。さらにコロナ禍への対応もあり、中小企業の経営を取り巻く環境は急速に変化しており、益々、システムをどのように活用するかが問われてきます。

一方、中小企業ではシステム対応にあたれる社内担当者が少なくシステム化が進まない、システムを導入したが上手くいかないといった事例もありますが、社外に目を向ければ検討できるシステムの選択肢が増え、これをサポートする専門家も増えているといったプラス材料もあります。

全てを社内で検討するのではなく、信頼できる専門家を全国から探すこともできます。厳しい経済環境ではありますが、システム化等により課題解決を図る好機でもあります。

是非、上記にあげたポイントにご留意のうえ積極的にシステム化をすすめていただき、その効果を獲得してまいりましょう。

以上

岡村 英昭

社会保険労務士法人つむぎ | 岡村 英昭

私が代表を務める「社会保険労務士法人つむぎ」は、会社様から頂戴する人事労務に関するご相談への対応、給与計算アウトソーシング代行、就業規則作成、助成金申請代行に加え、人事労務システムの導入支援も行っています。全ては会社の生産性向上、働き方改革へとつながります。ジョブカンを使った取り組みをご検討の場合は、我々にご連絡下さい。会社様にあったジョブカン導入、業務運用の構築を提案させて頂きます。
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