歩合給の取り扱いと、ジョブカン給与計算での設定方法

歩合給の取り扱いと、ジョブカン給与計算での設定方法

みなさん、こんにちは。TECO Designのうめもんです!

めでたいことに、ジョブカン給与計算が3周年おめでとうございます。なんと3周年記念企画までやらせていただいて、うめもん感激です…もう記念ページや、動画はご覧いただけましたでしょうか?

さて、今回のトピックは「歩合給」です。

#歩合給とは

営業部門の活性化のためなどの目的で導入されることの多い「歩合給」。頑張れば頑張った分もらえる!ということですから、努力次第で給与を増やすことができます。従業員本人のモチベーションアップに有効ですよね。

基本給はなく、受け取れるのは歩合給のみといった完全歩合給の会社もあれば、基本給にプラスする手当部分に歩合を取り入れている会社もあります。実際に私たちがクラウド給与計算システムの導入支援するにあたって多く見かけるのは後者ですね。

また、名称や中身も様々です。個人やチーム全体の目標を達成することでもらえるものもありますし、自分が営業した成約1件ごとに○○円を支給すると決められているような場合もあります。「営業インセンティブ」「報奨金」「業績給」「出来高給」…様々な呼称がありますが、とりあえずここではまとめて「歩合給」と呼ぶことにしましょう。要するに一定の要件によりもらえる金額が変動する手当、と考えてください。

#歩合給の取り扱い

歩合給も、割増賃金基礎の対象です!!
歩合給も、割増賃金基礎の対象です!!

大事なことなので2回言いました。

というのも、割増賃金に入れなくてよい手当というのは法律で限定的に列挙されていますよね。
つまりそこに記載がないので、歩合給も割増基礎に算入しなければならないということになります。

御社の「歩合給」の割増賃金の計算はどのようになっていますか?
本当にきちんと計算されてますでしょうか?

わたしたちがいつもクラウド給与計算システムの導入支援をする際には、お客様の使っている手当や控除のぜーんぶについて詳細を調べます。そのときに発覚するのですが、この「歩合給も割増基礎に入れる」という取り扱いが高確率で抜け落ちています…。

もちろん当社からの指摘後に、「では、クラウド化を機に法定通りの設定にします!」と決断いただけるようなケースも多くあります。ほっとします。笑

このように、クラウド化は長らく気にも留めなかった給与計算のとても細かな部分を見直す良いきっかけになるなあと感じています。

他の「見直し事例」としてよくあるのが、旧来の給与ソフトでは登録できる項目数に制限があることで、仕方なく「その他手当」とか「調整手当」とかぼんやりくくってしまっていたような、一見不明瞭な手当の見直し。ジョブカンもそうですが、クラウド給与計算システムでは設定できる項目数もかなり多いですので、便利ですね。遡り昇給やら、残業代の支給漏れの調整やらをまとめて「その他手当」とブラックボックスにしてしまうと、本来計上すべき月が違っていた場合などに発見できないんですよね。定時決定・月額変更も、労働保険の年度更新も、計上月の細かーいルールがあったりするので…なるべくだれもが分かるように名前をつけ、運用すべきです。

#歩合給の割増賃金 計算方法

さて、割増賃金の基礎単価はどのように計算するのが正しいのでしょうか。具体例で見てみましょう。

(例)この月の残業代はいくらになるか?
固定給与 17万円
歩合手当 3万円
月平均所定労働時間 170時間/月
法定時間外労働 10時間

◆固定給の割増賃金
固定給与170,000円÷月平均所定労働時間170h×割増率1.25×時間外労働10h=12,500円

◆歩合給の割増賃金
歩合給30,000円 ÷ 総労働時間180h(170h+10h)×割増率0.25×時間外労働10h=417円

◆割増賃金額
固定給の割増賃金12,500円+歩合給の割増賃金417円=12,917円

①歩合給の割増計算に総労働時間を用いる点
②歩合給の割増率が125%でなく、25%になる点

え?なんでこうなるの?という詳細の理由は、詳しくうちのブログで書いておりましてそのうちUPされると思うので、見てみてください(ちゃっかり宣伝)!

#実務的にはどうするか

理論としてはすでに説明した通りですが…現実的にはどうでしょう。非常に面倒です!わざわざ別に分けて割増賃金を手計算し続けるのは煩雑だし、ミスの原因にもなります。実務上は、固定給と同様に所定労働時間を用いて割増単価を算出している事業所も多いです。これは従業員にとって有利な方法で計算していますから、問題ではありませんね!

#ジョブカン給与計算システムではどうなるか

では3歳になったジョブカン給与計算では、どのように設定してするのが良いのでしょうか?

まず面倒なほう。笑
先に説明した理論通りに、普通の残業計算とは別に、歩合にかかる残業計算をさせたい場合です。

ジョブカン給与計算は、数あるクラウド給与のなかでも比較的自由に計算式を組んで手当を作成できます。が、分子として選べる単価には限りがあるため、歩合部分の残業計算式を自分でうまく組むことができません。これの解決策としては、別途計算した結果を通常の時間外手当に足すか(給与計算画面で直接入力する)、別途「歩合(残業部分)」のような手当として付与するしかありません。

では次に、簡単なほう。他の手当と同様に、所定労働時間を用いて割増単価を算出するパターンです。歩合の手当を際に「割増基礎に含める」となるように気を付けて設定し、運用します。

①まず手当を追加します。
→ 設定>該当の給与規定グループ>支給・控除項目一覧>支給・控除項目 追加登録

②次に割増基礎単価の計算を編集して、このときチェックボックスを忘れないようにします。
→ 設定>給与規定グループ>支給・控除項目一覧>単価一覧>単価編集

#おわりに

他の手当と同様に簡易化して計算すると、厳密に手計算するよりもほーんの少し多い残業手当を払うことになります。計算してる分母が違うためですね。個人的には微差と言えるレベルだと思いますが、こういうところを気にする担当や経営者もいると思います。(いや、さすがにそんな細かい計算式まで把握してないか!?笑)

でも、大きな目線で見ればどうでしょう。

給与計算担当者が毎月その歩合給にかかる残業計算だけを、システム外で手計算するのって非効率極まりないですよね。たった数円の微差のために、担当者の負担が大きくなってミスの可能性も増えるし、そっちの残業代がかえってかさんでいる…なんてことになれば本末転倒です。

限られたリソースを最大限活用して効率的に仕事をする、というのが少子高齢化社会において、ますます重要になってきています。IT化・ペーパーレス化・クラウド化はこれらを強力に推し進める武器であり、もはや避けられない流れです。それを理解したうえで、賢くサービス選定し、着実に初期設定をする必要があります。一緒に使いこなしていきましょう!

杉野 愼

株式会社TECO Design | 杉野 愼

神楽坂駅徒歩1分のショールーム”CLOUD STATION”を運営。ジョブカンシリーズをはじめ、人事労務クラウドシステムを実際に操作・比較しながら、自社に合ったシステムを見つけることができる国内唯一の場所です。これまでに、250社を超える企業の勤怠管理・給与計算等のクラウドサービス導入支援をサポートしている実績から、業務フローの改善、見直し含めて、まるごとご相談を承っています。

また、バックオフィス業務の実務担当者に寄り添うオウンドメディア”CLOUD STATION”では、ジョブカンをはじめとした人事労務クラウドのノウハウ記事、機能解説・比較記事を公開しています。

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