従業員が最大限のパフォーマンスを発揮するために重要なこと【メンタル不調の場合】

従業員が最大限のパフォーマンスを発揮するために重要なこと【メンタル不調の場合】

「社会保険労務士という仕事柄、産業医の先生とメンタル不調の従業員面談に立ち会うことがあるのですよ」というお話をすると、多くの方は、「社会保険労務士は、労働社会保険等の書類作成と申請手続きをする人なのに、なぜ?」と違和感を覚えるようです。

私は、社会保険労務士の仕事をする前は企業の健康管理業務等に従事しており、その中で、国の制度や会社の人事労務管理の側面を踏まえずに、メンタルヘルス不調者の休職や復職等の対応をすることは困難だと痛感しました。

目次
  1. 人事労務管理の制度を踏まえたメンタルヘルスケア
  2. メンタル不調を抱える従業員との面談例
  3. 従業員が十分なパフォーマンスを発揮するために

人事労務管理の制度を踏まえたメンタルヘルスケア

メンタルヘルス不調での休職は長期におよんだり、繰り返すことが多い為、収入面を含め、人事労務管理と切り離して考えることはできません。

例えば、入社3年未満の方の場合、何カ月休職できるのか?入社して6カ月目の社員がメンタルヘルス不調で休職となった場合、健康保険組合の傷病手当金はもらえるのか?休職を経ることなく、入社6カ月目で退職してしまった場合、傷病手当金はもらえるのか?

さらに、休職期間中の人員バックアップ体制はもとより、休職者の社会保険料等、人事労務の面からさまざまな対応を考えなくてはなりません。

また、厚労省の精神障害の労災認定基準では一定時間の時間外労働や職場のハラスメントがあれば、労働災害と認定されます。

このような中、「人事労務全般の知識を身につけるためには、どうしたらよいか?」と、いろいろ調べていた中で「社会保険労務士」という資格を知りました。

そして、現在、産業医の先生と連携し、「医療と労務のダブル顧問」として多くの企業様の業務をサポートさせていただいています。

メンタル不調を抱える従業員との面談例

先日、顧問先の人事部長から

「ちょっと問題社員がいるのですが、一度、産業医の先生と面談をしてもらえませんか?」というご相談をいただきました。

「どのように問題なのですか?」と、お伺いすると、なんでも、コミュニケーションが成立せず、業務上の指示だけではなく日常的な行動もうまく伝わらない為、上司や周囲が疲弊してしまっているとのこと。

具体的にはセキュリティーカードといった会社備品の紛失や、研修や客先訪問のドタキャンを始め、電話対応もおぼつかなく、何回注意しても改善が見られない状況で、どう扱ったら良いか職場全体で困ってしまっているそう。一方で、かなり良い大学を卒業し、採用時試験も優秀な成績だったとのお話もありました。

産業医の先生と私はニュートラル(客観的・中立的立場)な対応が必須なので、このような事前情報をいただきつつ「逆に上司や周囲の対応(伝え方等)に問題はなかったか?」等の状況を御本人との面談で確認していくことになります。

さて、いよいよご本人との面談の日になりました。

長年の経験もあり、お会いして一言二言、言葉を交わしたところでこの方は既に何らかの精神障害系の診断が出ているのでは?と直感的に感じました。

ご本人、会社、我々の詳細やり取りを記載すると冗長になってしまうため割愛しますが、要約すると「会社には隠してきたが幼少のころから精神科に通院していること」「学生時代に精神保健福祉センターに通所していたこと」を面談時に教えていただきました。

また「小中高大といじめられていた」「人との会話は苦手」「注意されている理由がわからない」「職場で仲間外れにされていると感じている」というお話もあり、会社とご本人にとってベストな落しどころを探りました。

結論として、会社に精神疾患であることをカミングアウトし、会社・ご本人・ご家族も納得の上、障害者雇用枠で対応していく方向となりました。

メンタルヘルス不調の中でも、この例のように「病気」として診断されている方については比較的対応がしやすいと感じています。

一方、ストレスチェック事後の医師による高ストレス者面談は、会社、上司、周囲に対する不満、自分の処遇に対する不満等が多く少し様相が違ってくるのですが、このお話は、また、何かの機会があればご紹介したいと思います。

従業員が十分なパフォーマンスを発揮するために

さて、国が働き方改革を強く推進している背景には、少子高齢化による労働力人口の減少があることは周知の事実で、採用等による人員の補充もなかなか難しいというお話を、経営者やご担当者から頻回に伺います。

そのような中、今いる従業員に十分なパフォーマンスを発揮してもらい生産性をあげることや、休職やプレゼンティーイズム(出社していても、何らかの不調のせいで頭や体が思うように働かず、本来発揮されるべきパフォーマンス(職務遂行能力)が低下している状態のこと。疾病就業とも言います)等による生産性ダウンを抑止すること、また、何らかの疾病があったとしても、適材適所に落とし込で人材を有効活用していくことは、今後、企業にとってより優先度の高い重要な課題といえるのではないでしょうか?

社会保険労務士は一般的に書類作成や申請手続きの代行、給与計算等が仕事と思われがちですが、弊社はこのような課題に対するソリューションをご提案できるパートナーでありたいと考えています。

森本 貴代

一般社団法人ウエルフルジャパン | 森本 貴代