クラウド勤怠システムの導入を決めたがその後なかなか進まない問題の解決策
クラウド勤怠システムの導入を決定したもののその後、思うように進まないといったご相談を受けることがよくあります。
結論からいいますと外部の専門家(社労士等のアウトソーサー)に相談・依頼すれば、すんなり問題が解決することも多いので、選択肢として持っておいてもよいのでは、というお話です。
「社労士の書いている記事だから、ポジショントークだろう。」
確かにそういった一面はありますが、そのポジションだからこそ、熟知していることもあります。もし、「読んでから判断してみるか」と思っていただけましたら、少しだけでも目を通してみてください。
進捗が止まる原因とその対策
まず、進捗が止まってしまう原因から考えると下記のようなケースを多く見てきました。
【ケース①】 担当者の時間が確保できず、先延ばしになってしまっている。
【ケース②】 どのシステムがよいかわからず、決めかねている。
【ケース③】 導入までの道筋(イメージ)が見えない。
順にみていきましょう。
【ケース①】担当者の時間が確保できず、先延ばしになってしまっている。
こんな会話を実際に聞いたことがあります。
社長「勤怠システム導入の進捗はどう?」
担当「急な仕事が入ってきてしまい、なかなか時間がさくことができません」
社長「……確かに。システム導入はいつでもできるから、急ぎの仕事を優先して」
スティーブン・R・コヴィー氏の名著『7つの習慣』の緊急度と重要度のマトリクスを引用すれば、上記の会話で勤怠システムの導入は、【第Ⅱ領域】の「重要」だけど「緊急」でないものに位置づけられるものの、後回しになってしまう典型例です(著書では、この領域こそ大切にすべきと書かれていますが)。
担当者が勤怠システム導入の優先順位を上げないと、なかなか順番は回ってこないことになってしまいます。
ただし、社労士等の専門家に任せれば、専門家も担当者も「重要」かつ「緊急」な仕事に強制的に位置づけることになり、スケジュールに沿った導入への道が開けます。
【ケース②】どのシステムがよいかわからず、決めかねている。
事前に自社の制度や運用が勤怠システムで実現できるか試してみたいという要望があります。
何社かシステムをしぼって無料のお試し期間にシナリオを作って試してみたいという声もよく聞きます。しかし、シナリオ作っても、検証する時間的な余裕がいないという状況を多く見てきました。
さらにお試し期間中にそもそも就業規則を変えた方がいいかとか、もう少しほかの機能も試してみたいとか、新たな疑問がわいたり、と問題が積み重なって時間切れになってしまうこともあります。
労働法を熟知し、システムごとの特徴等を把握している専門家なら、社内制度、企業風土、業種等も考慮し、的確なアドバイスが可能です。
【ケース③】導入までの道筋が見えない(イメージが見えない)。
自社のクラウド勤怠システムの導入って、担当者が一生のうちに何回やるでしょうか。
ほとんどの方が初めてやって、そのあとは二度とやらない、というケースが多いでしょう。試行錯誤しながら行うことになりますが、特殊で専門的な業務は、やはり慣れた人がやったほうが効率的ですし、余計な担当者の負荷やストレスも発生しないのではないでしょうか。
専門家に依頼するデメリットとメリット
以上、ケースごとの進捗が止まってしまうケースと対処方法をそれぞれ見てきましたが外部の専門家に依頼する際の主なデメリット、メリットを考えてみます。
【デメリット】
① 費用がかかる。
② 社内にノウハウがたまらない。
① 確かに費用面が一番大きい問題かもしれません。
ただし、自社の担当者が行ったとしても、人件費がかかっていることを見逃しがちです。担当者が勤怠システムの導入に費やす時間も給料を払っていますし、残業すれば、割増分の残業代がかかります。当然、システム導入の業務を行っていなかったら、他の業務ができます。
② ノウハウがたまるチャンスではありますが、【ケース②】や【ケース③】のように担当者の時間が取れなかったり、慣れない作業を行うのも難しい面があります。自力で行う作業でノウハウがたまらなくても専門家からうまく利用して吸収するほうが効率的という考え方もあります。
【メリット】
① 専門家の知見が得られるだけでなく、給与計算・労務管理システム等の広い視野で立案が可能。
② スケジュールの立案から導入までをサポートしてもらえる。
① 勤怠システムの導入の初期設定には、労働基準法等の専門的知識が必要で就業規則の見直しの必要があるかもしれません。また、もし初期設定を誤ってしまうとずっと間違った使い方をし続けてしまいますが、専門家にまかせれば、安心感を買うことができます。
さらに勤怠管理システムだけでなく、給与計算システム、労務管理システム等のシステムの全体的な構築のアドバイスも期待できます。
② 外部の人間とスケジュールを共有して協業すれば、"なんとなく先延ばししてしまう対応"からも脱却できるかもしれません。また、個人的には「スケジュール通りにやり切ること」も専門家の仕事のうちと考えています。
以上、進捗の思わしくない勤怠システム導入には、社労士を効率的に利用する方法があるというご提案でした。
ただ、社労士に依頼する際には、システムの導入や設定を行っていない事務所もあり、事前にホームページ等で業務内容を確認することをおすすめします。
最後に勤怠システム等の導入により、御社の生産性および業務効率が向上し、その効果を実感していただけることを願っています。
社会保険労務士事務所 ファインネクサス | 田中 伸政
特徴① 【業務効率化】
クラウドシステムにより、届出は電子申請で行っています。また、共有ファイル等はクラウドストレージを使用することにより、業務の効率化・ペーパーレス化を図っています。
特徴②【内製化支援】
クラウドシステムの導入後や使い方を習得されたお客様にはご希望に応じて、自社で社会保険の手続きや給与計算を行って頂く内製化のお手伝いも行ってます。
特徴③ 【法改正対応】
ブログやYouTubeで情報発信しています。上場会社およびそのグループ会社の経験もあり、先行して個別にカスタマイズした法改正対応やクラウド勤怠に対応した就業規則も作成しています。
◆ホームページ
https://finexus.jp/
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